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青鹿ユウさんの新刊コミックス「M@te!!」(メイト)は現代版「言霊」の物語である。
携帯の送信メールフォルダの中の文字を「討伐文字(ウチモジ)」として駆使し、「人の悪意が形になったもの」である「悪字「と戦う。
例えば、「嫌い」という気持ちから生まれた「悪字」には「好き」「愛している」と言った「討伐文字」、といった具合に。
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「メールって誤解が生まれやすかったりするので、あれってなんで誤解が生まれやすいのかなぁ、と考えていました。そうだ、そもそもの悪意が別の次元から介入してるんじゃない!?みたいな(笑)」
きっかけはそこからだった。
ブログ、SNS等のコミュニケーションサイトは、スマートフォンの普及でより身近で気軽なものになったが、そのやり取りの裏には本人でも自覚していないほどの黒い感情をも含んでいるのかもしれない。「裏サイト」などはその代表例だろう。
けれどネットには悪意だけが渦巻いているわけではない。
「私が友達や知り合い、周りの人から言葉をかけてもらって助けてもらっているので、その時感じた感覚等を漫画に表せないかなぁと思っています。」
「デジタル機器が大好きなので、パソコンでの作業が楽しい」
すべての工程はデジタルで行なわれている。ネーム、ペン入れ、仕上げすべてがデジコミ作業だ。
「デジタル機器が大好きなので、パソコンでの作業は楽しいです。」
仕上げ作業が早いこと、原稿を汚す危険性が少ないこと、そしてトーンの廃盤を心配しなくて良い、等メリットは多岐に渡る。
「ただし、パソコンがないと描けなくなってしまうのでパソコンのトラブルは心配です。またネットワークやセキュリティも怖いですね。デジタルノイズさんに頼っているので安心です。」
「細かいものほどしっかり描くことが必要」
物語のキーアイテムとなる携帯電話は実は3Dを活用して作画されている。
「物語の説得力を持たせたいと思ったからです。キーアイテムの携帯が画面によってばらつかないように、3Dを使ってみようと思いました。そして、モニターの表示もきちんと作りこみました」
アシスタント時代、先輩から「細かい物もちゃんと描きなさい。物をよく見なさい。ちゃんと描けば物語の説得力が増します。ファンタジーはそのものがふわふわしてるから、説得力をどこかにおかないと全体がふわふわしますよ」と教えられたのだという。
「ただし、最初は戸惑いました。3Dモデルをそのまま画面に置くと、どうしても3Dモデルを使用したふうになるからです。どうやったら、より漫画らしい線になるかの試行錯誤も必要でした。」
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3Dを使用することで作ることができた時間は3Dを含めた作画の研究、そして漫画作業の中で最も大事な、ネームの時間を増やすことに充てているという。
漫画を書き続ける中で苦しいことを尋ねたところ
「漫画がかけるって状況1つで苦しい事とかはふっとびます」という答えが笑顔で返ってきた。
「もっといろんなジャンルの物語が描きたいし、パンチのあるキャラクターを描きたい。やっぱり一線で活躍されている作家さんのキャラクターはとても魅力的なので、私ももっと魅力的なキャラが描けるよう引き出しを多くしたい。レベルアップしたい。やりたい事はいっぱいです」
と話す青鹿さん。
「苦しい時でも、読者さんからファンレターをいただくとまたがんばるぞ!って気持ちになるんです。読者さんが出してくれたアンケートやお手紙はすごい力になります!うまくいかない…と落ち込んでいたりすると友達が協力してくれたり先輩作家さんが相談に乗ってくれたり、ピンチになったらいつでも連絡してください!と言ってもらえたり。とにかく話を聴いてくれたり助言してくれたりがなによりです。」
青鹿さんのメールフォルダは、沢山の「討伐文字」で溢れているに違いない。
青鹿ユウ先生
漫画家。メディアファクトリー「コミックジーン」で連載中。
・Twitter
https://twitter.com/#!/buruban
(ハッシュタグ #メイト #コミックジーン)
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・コミックス情報
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